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特別寄稿

菅原えりさ教授(東京医療保健大学大学院 感染制御学 教授)「病院における感染制御と清掃事業者の役割」

菅原えりさ氏 (略歴)

1995年
日本赤十字社医療センター 看護師長
2001年
感染管理認定看護師取得
2005年
感染対策室専従感染管理担当者
2016年
東京医療保健大学大学院 医療保健学研究科 感染制御学 教授(現職)

科学的根拠に基づいた感染制御のはじまり

人類にとって長い間、恐ろしい死の病は「感染症」でした。目に見えない何かによって瞬く間に多くの人々がその病に罹り、そして大量に死んでいくのです。

目に見えなかった原因をはじめて明らかにしたのは、1875年に「炭疽菌」を発見したコッホでした。「光学顕微鏡」の発明によるものです。それ以降、細菌の発見が相次ぎましたが、治療薬である「抗菌薬」の発見までには約50年待たなければなりませんでした。

そしてついに1928年、フレミングがアオカビからペニシリンを発見したことは有名です。1942年には実用化され、第2次世界大戦の負傷兵の多くはこのペニシリンによって感染症から救われたのです。ところが、これが新たな戦いのはじまりでした。

日本では1980年代後半に、抗菌薬の効かない耐性菌「MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)」による院内感染が頻発しました。抗菌薬を手に入れた人類に対する菌の逆襲です。死亡者も出たことから病院の管理体制を問う報道もなされ、大きな社会問題となりました。

それまでの感染症患者は、ただ一律に隔離するといった根拠に乏しい対策が行われていましたが、この頃より「エビデンス(科学的根拠)に基づいた感染制御」が唱えられるようになってきました。すなわち、例として、病原体にはそれぞれに特徴があり固有の感染経路を持っているそれらを踏まえ効率よく菌の伝播を遮断すべきであるとされ、人権尊重にも相反する患者を隔離するような対策は廃れていきました。そして1998年、感染症に関する法律が「伝染病予防法」から「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」へ制定から約100年ぶりの抜本改定に至ったのです。

 

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今、病院では・・ 

私たちは普段、無数の菌の中で生活をしています。これらの多くは常在菌といって、基本的には無害で場合によっては私たちの身体を守ってくれているものです。また、人がよく触れる手すりやドアノブには皮膚の常在菌が多く付着していることが考えられ、そこから菌が伝播することも考えられますが、健康体であれば全く問題ありません。

ところが、病院の中では事情が違います。現代の医療では、薬物などで意図的に患者の免疫力を低下させる治療が行われることがあります。また、治療のために人工的な装置を体内に挿入された場合も患者は菌に感染しやすい状態になります。こうした治療を受けている患者にとっては、常在菌であっても命を奪う可能性があります。

また、前項で述べた抗菌薬の効かない耐性菌への対策は現在でも重要な課題で、それらが検出されている患者の環境周囲は同菌で汚染されることがわかっており、また、乾燥した環境表面でも長く生存することが知られています。

そのため、環境表面を清浄化することは、手指衛生同様、重要かつ基本的な対策として位置づけられています。

米国疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)が発行した医療施設における環境感染管理ガイドライン(Guidelines for Environmental Infection Control in Health-Care Facilities. MMWR 2003;52[RR-10])では、患者エリアの環境清掃には日常的に洗浄剤または消毒薬を使用し、それに加え、高頻度接触箇所(ドアノブ、スイッチ、手すりなど)はより頻繁に洗浄剤または消毒薬を使用することを推奨しており、日本の医療施設でも周知のこととして実施されています。

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病院でのこれからの清掃事業者の役割

まず、環境表面の清浄化が感染制御の一翼を担うことを、深く理解する必要があります。そして、医療施設の特徴や感染制御の基本、清掃のスキルおよび管理などの正しい知識を習得しなければなりません。

清掃事業者であっても、病院清掃に携わった時点から、医療従事者の一員になることを自覚していただきたいのです。医療従事者の一員になるということは「患者の命を守るプロ」になることに他なりません。

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イオンディライトの「衛生清掃」について

施設管理のリーディングカンパニーとして、病院清掃を「衛生清掃」と銘打ったことは大変に意義深く、病院清掃の特殊性をよく理解されている結果だと感じています。

今後はこの「衛生清掃」の内容を更に充実させると共に、その目的を果たせる人材の育成を強化する必要があります。

イオンディライトの「衛生清掃」には、患者の命を守る質の高い清掃技術の提供をこれからも目指していただきたいと思います。

イオンディライトの衛生清掃

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